『千段』

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小説(中編・長編)
擬態[更新休止中]


『擬態・11』 (小説・中編)

2008.09.29  *Edit 

3/1,000


 冷蔵庫のドアから大家さんの部屋へ戻ってきてからも、私は暫し呆然としていた。
 世界が、まるきり違って見えた。

 この、ドアノブも。
 エアコンも。
 掃除機も。
 そこへ無造作にいっぱい掛かってるハンガー達も。
 床に敷いてある絨毯、壁も天井もみんな。
 ものというもの、
 物質という物質、
 ありとあらゆるところに、何か、「魂みたいなもの」が宿っているのかもしれない、と思ったら、その息苦しさに押しつぶされそうな――それでいて、その、宇宙全体、すべてが脈打ってるみたいな躍動感にわくわくするような、酷く怖いような、何とも言えず胸が痛いような、そんな、複雑怪奇な気持ちになった。なにしろ、私の心ってやつはひとつしかないというのに、その、ひとつの心の中に、種々雑多な、いろんっな、沢山の気持ちがいっぺんに押し寄せて、渋谷のスクランブル交差点並みにごったがえしているのだ。訳が分からないこと夥しい。


「どうぞ」
 ふと見ると、私の目の前に、湯気の立つマグカップが置かれていて、王子様が微笑んでいた。
「色々と、びっくりなさったでしょう。温かいものでもどうぞ。落ち着きますよ」
 言われるままに手を伸ばす。熱くて甘い匂いのするミルクティー。
 一口飲むと、自分でも良く分からないけど、なんだか泣きたくなって、私は少し泣いた。


「勿論、世の中の家電製品が、全部ああして出来ている訳ではないのですが、それでも、珍しくないのも確かです。普通に、お店で売られているものの中にも、大分、動物で出来たものが混じっているのですよ」
 しくしくとすすり泣いている私に、王子様は酷く穏やかな、子供に言って聞かせるような口調で説明した。
「それらは、私たち魔法の世界の取り決めによって、厳しい規格が設けられ、万が一にもこちらの世界の方達に魔法の影響がないように、徹底した検査を行って出荷されているものです。ここのような家具家電付きのアパートの場合も同様で、父はそのための国家資格を持っていますし、年に一回は管理局の検査があって、それに合格しないと営業を続けることが出来ないのです。それが」

 ふと、言葉が途切れたので、紅茶の湯気越しに王子様を見ると、彼は苦笑いを浮かべていた。



12に続く。



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~ Comment ~

No title 

泣きたくなる気持ち、わかる気がする。

そして、王子、優しいなあ。

苦笑いの理由はなんだろう。
気になる!

No title 

*せいちゃん
コメントありがとうございます!!!
見てみたら前回の更新から一ヶ月以上空いてた(笑)
中の人に申し訳なかった(汗)
まあ例によってここからラストまで大したイヴェントもなく(笑)
地味ーに続いていきますが、宜しければお付き合い下さい☆
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