『千段』

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小説(中編・長編)
擬態[更新休止中]


『擬態・12』 (小説・中編)

2008.10.01  *Edit 

5/1,000


「あああ」
 失礼とは思いながらも、私は思わず、ぷっ、と吹き出してしまっていた。
 なんか色々ありすぎてすっかり忘れていたが、ことの、そもそもの始まりは。
「うちの、あれ、動物たち」
「はい」
 眉を八の字にして、困った、といった表情で王子様は微笑した。
 うん。あれは。ものっすごく、私に影響及ぼしてる。あれじゃだめだろう。

「……大家さんの営業許可取り消しとかになっちゃうんですか?」
「そうですね。本来なら」
「本来なら」
 私が、最後の言葉を意図的に繰り返してみせると、王子様はとてもとても意味深な感じに、にっこりと微笑した。

 うわあ。
 来たよ、コレ。

 私は内心天を仰ぐ。

 ずっと薄々感じていたけれど、この王子様、自分の微笑みの効果を良く知っている。絶対そうだ。わかっててやってる。しかし、わかっててやってるって分かってても、そうと知りつつついつい騙されてしまうのが人情というものだ。人情というか、私が騙されやすいだけだろうか? なにしろ、多分、この先なんか言われても、私は断れない予感が、凄く、する。
 そんな私の内心を知ってか知らずか、王子様は魅惑の微笑みを浮かべたままで、

「そこで――お願いがあるのですが」
 と言った。
 やっぱりな。
「なんでしょうか?」
 やむを得ず私も、胡散臭いくらい無邪気に爽やかに微笑みがえしをする。
 そして、あんたのやり口はお見通しよー、と目で語ってみる。
 今、私たち二人を客観的に見たら、かなり怖いというか気持ち悪いに違いない。お互い超にこにこしているのに、目が笑ってないのだ。

 しかし、さすがに百戦錬磨(多分)の王子様はそんな私の威圧程度ではかけらも動揺した様子を見せずに、飽くまでおんなじ調子で
「実は、上月さんに、私たちの悪事の片棒を担いで頂ければと」
 と、凄いことをさらりと言い切った。
「え。いやいや。悪事の片棒って」
 思わず私は真顔で突っ込んだ。
「ご指摘の通り、本来なら、ベッドが牛になったりした時点で、私たちは資格剥奪、アパートは営業停止です。けれど、私たちの都合を申し上げて恐縮なのですが、ここがなくなって、父もあの状態では、路頭に迷ってしまいます。上月さんや、他の住民の方々には、勿論すぐに別のオーナーを募集してご不便を最小限に抑えるようには致しますが、それでも契約手続きなどでお手を煩わせてしまうことになるでしょうし――いかがでしょう、今回、上月さん、あなたは『何も見なかった』と、こういうことにしては頂けませんでしょうか」

「――え。それでいいんですか?」
 悪事の片棒とか言うから何をさせられるかと思えば。
 私は拍子抜けした。
「いいもなにも。正規の手続きとしては、上月さんのお部屋に異変があった時点で、私は所轄官庁に、事故として届け出なくてはならなかったのです。今この瞬間に抜き打ちの監査などがあれば別ですが、こういった異変は、基本的には自主的に申告することになっていますので、逆に言うと、黙っていれば分からない訳です。しかし、これは当然コンプライアンス違反ということになりますから、もし発覚すれば、最初の事故と、隠蔽したという不正と、ふたつの処罰を受けることになるのです」
「え。それって私も処罰されちゃうってことですか?」
「いえ。私たちの世界のルールですから上月さんが『処罰』をされるということはありません。ただ、もし万一そういうことになったとしたら、関わったということで、事情聴取をされたり、色々とご不快な思いをさせてしまうことになるとは思います」

 なあんだ。
 そんな程度だったらどってことない。
 悪事の片棒くらい、担いでもいいや。

 と、思った私は、やはり、結局騙されているのだが。
 まあでも、別にいいだろう、騙されたって。







13に続く。

*

*

*

お久しぶりの追記です(笑)
この小説というか、ブログ自体が最近大分ぐだぐだになってました(汗)
そんな中でもアクセスして下さってたみなさま、本当にありがとうございます!!!!
これからもこんなこともある可能性大ですが。
どうにかこうにかでも、ほそぼそと続けていけるように頑張ります。
このおはなしももう少しで終わりそうですので、
いましばらくおつきあい頂けましたら幸いです!☆



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~ Comment ~

No title 

いいのかい、騙されても・・・、とついつい(笑)
王子~!この後どうなるのかな。
にこやかにたたみかけるように話すのが・・・。
何かありそうな気がして仕方ない(笑)

No title 

*せいちゃん
ありがとうございます☆
騙されてもいいそうです(笑)
多分、この人も結構馬鹿なんだと思います(笑)
王子様は天然なのかと思ったらそうでもないみたい!
いやあ、どうなるんですかね!(←作者)(←何も考えてない)
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