『千段』

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みじかいおはなし
ジョージョーと鳥(旧作)[完結]


『ジョージョーと鳥・2』(みじかいおはなし・旧作)

2008.11.04  *Edit 



 その日もいつものように、気が付いたら公園に向かっていた。西日が濃い金色の影をおとす時刻のそこには、例によってまばらな人影があり、私をほっとさせた。向かいのたばこ屋のおじいさん、遊んでいる小学生たち、一心不乱にスケッチブックに向かう画学生。涙腺の機能が壊れていて、そんないつもの風景を見ただけでもう泣けてくる。涙ぐみながら、私はそそくさと指定席のベンチに移動した。

(思い出なんて、ろくでもない)

 いつもいつも、何かを失ったとき、そう思えて仕方がなかった。それはもう死んでしまった出来事で、今はどこにもないのに、何度でも鮮やかによみがえっては私を混乱させる。月に向かって泣く子供のように、私は愚かしくも哀れに手を差し伸べて泣くことしか出来ない。彼の言葉、優しさ、いつも私を抱きとめた広い肩。涙はあとからあとから湧いてきて、いくらでも頬を濡らす。

 一人で、陸で溺れたみたいになっていたら、急に雨が降ってきた。それはかなり激しい夕立で、白く乾いていた地面があっという間に真っ黒になっていく。あまりにも踏んだり蹴ったりな事態に、私は逆に笑えてきた。そう、降るなら降ればいい、もともと涙でびしょびしょの顔だ。全身濡れ鼠になるのも悪くない。幾分、状況に酔ってもいたのだと思う。ひとりぼっちで、悲しみの中で、雨に濡れて。だから私は立ち上がろうともしなかった。このまま雨に打たれていようと思ったのだ。

 と、その時。突然、黄色い、大きいものがなんだかばさばさ音を立てながら勢いよく視界に飛び込んできた。
 「えええっ!? 何!?」
 動転して、思わず立ち上がっていた。涙も引っ込んでしまったぐらいだった。
「ドウシマシタ? ドウシマシタ?」
 変な、機械みたいな金切り声。
 よくよく見てみると、それは大きなオウムだった。果物じみた鮮やかな黄色と緑の羽をした、派手なとさかのある。オウムは私の目の高さのあたりでしばらくばさばさやってから、ベンチの背にとまって、愛嬌のある顔つきで私のほうを見た。びっくりした分、気が抜けて、私は溜め息をついてもとのベンチにへたり込んだ。



3に続く。



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