『千段』

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みじかいおはなし
ジョージョーと鳥(旧作)[完結]


『ジョージョーと鳥・4』

2008.11.05  *Edit 

 ジョージョーと呼んで、と最初に言われた。
 「この鳥がそう呼ぶんだ」
 「ジョージョー、ジョージョー」
 オウムが答えるみたいに彼を呼んだ。
 なんだそりゃ、と思ったが、彼の態度があんまり普通なので深く突っ込まないでおくことにした。
 「毎日、公園に来てますよね」
 彼が言ったので私は三度驚いた。
 「ごめんなさい、僕もここのとこ毎日来てて。いつもいるなあと思って」
 よくよく見たら彼はスケッチブックとか、絵の具とかを持っている。そういえば毎日絵を描いてる人がいたなあ、と思い出したが、なにしろいつも後ろ姿ばっかり見ていたので、そのほかにはこれといって思い出せることはなかった。目に入ってはいたのだけれど、何しろ気持ちがせっぱつまっていたので、他人を気にかける余裕がなかったのだ。
なんだかそれがとても気まずくて、話題を変えようと思い、
「その子、よくしつけてありますね」
と言ってみた。オウムは紐も籠もなしでジョージョーの肩や腕で行儀よくしていて、逃げようともしなかったので、感心したのだ。
 「いや、これそういうんじゃないんだ」
 ジョージョーは途端に沈鬱な面持ちになった。
 「ほんとうは、こいつ、僕の鳥じゃないんだ。たぶん飼い主とはぐれたんだろうけど……。道路にいて、僕が気づかないで自転車でぶつかって、怪我させちゃったんだ」
 そのときのジョージョーの顔を、私ははっきりと覚えている。巣から落ちた雛鳥や、痩せた捨て猫を見つけたときの小学生のような、真摯な表情だった。痛々しいぐらい。
 「それで、あんまり長く飛べなくなっちゃってさ。逃げようと思っても、逃げられないし、うちに帰りたくても帰れないんだ」
 だから、鳥本人の代わりに絶対飼い主を見つけたくて、新聞に広告を出したり、ペットショップを訪ね歩いたりしているのだ、と言った。
 私は、思わず「手伝うよ」とか言ってしまった。言わずにいられなくて、言ってしまった。
 「私ね、前にペットショップでバイトしてたことがあるの、2年くらい。だから、ジョージョーより多分色々出来るよ。かかりつけの獣医さんとか、あとお得意のお客さん関係とかで根回ししてみるよ」
 「いいの? 迷惑じゃない?」
 さっきあんなに堂々と私を拉致した人と同一人物とは思えないくらい遠慮がちな表情でジョージョーが私を見る。私はだからおかしくて、笑いながら
 「どうして? 私のほうから言い出してるんだからいいに決まってるじゃない。それに、迷惑も何も、どうせヒマな大学生ですから」
 「本当?」
 ぱっと彼の表情が明るくなった。なんか、感情の出し方がいちいち子供みたいな人だなあ、と思いながら見ていた。困るときは全力で困って、喜ぶときも掛け値なしに全開で喜んで。
 「とりあえず、前のバイト先にその子を連れて行ってみよう。店長、すごくいい人だから、多分力になってくれると思うよ」
 「ありがとう。本当にありがとう」
 「アリガトー、アリガトー」
 彼の肩で鳥が繰り返した。



5につづく。



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