『千段』

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みじかいおはなし
ジョージョーと鳥(旧作)[完結]


『ジョージョーと鳥・10』(みじかいおはなし・旧作)

2008.11.15  *Edit 

ここは喜ぶところなのに、ジョージョーはむしろ困っているような表情で鳥を見ていた。自分の感情をもてあましているみたいだった。私も一緒になって困って、オウムの丸い目を見た。レモンイエローの羽根、鮮やかな南の国の果物みたいなその色彩。結局、すべて振り出しに戻ったわけだ。

なにひとつ、進展したことはないのに、気が付いたらじわじわ嬉しさがこみ上げてきていた。変な関係だけど、こういうのもありだと思った。嬉しい気持ちそのままに、ジョージョーの腕に手を絡めた。ジョージョーがびっくりして、緊張して私を見たけど、無視した。もっと困らせたいという、意地悪な気持ちになった。

「名前付けようよ、この子に」

「え?」

「だってそうでしょ、今日からジョージョーの鳥なんでしょ。ジョージョーの呼びたい名前で呼んでいいんだよ」

「うん、そうだね……」

ジョージョーはまだ呆然としながら、さりげなく腕を抜こうとしたけれど、私はますます強く腕をつかんだ。

オウムは、もう、絵に描いた餅のようじゃない。ジョージョーの世界で、もう存在してしまっている。私だってそうだ。

私の、苛立ちの原因がやっとわかった。

私はいつも、ジョージョーをこうやって捕まえたかったのだ。

「ねえ、どうする? ハナエとかどう?」

「ハナエ!? なんで?」

ジョージョーはいつになく押しの強い私の態度に困惑しきっているようだったが、それでも少しずつオウムの名前をつける気になってきたらしかった。

「なんとなく。カラフルで森英恵チックだから」

「なにそれ。じゃあ僕はケンゾーかな」

「でもこの子女の子だよ」

私が突っ込むと、ジョージョーは本当に知らなかったらしく、心のそこからびっくりした表情で

「そうなの!?」

と言った。そうだよ、と私が答えると、

「そうなんだ。僕、こいつのこと何にも知らなかった」

といって、ジョージョーは今日初めて、かすかな笑顔を見せた。

私は思わずちょっと泣きそうになって、目をそらして満天星の垣根を見つめてまばたきした。

満天星。

そういえばこの、ドウダンツツジの別名、ロマンティックなこの名前は、ジョージョーが私に教えてくれたんだっけ。そんなことを意味なく思い出しながら、私はジョージョーの手を、華奢に見えたけど実は意外と大きい手を、ぎゅっと強く握った。



おわり。





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