『千段』

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みじかいおはなし
幸福の壺の主(旧作)[完結]


『幸福の壺の主・2』 (みじかいおはなし・旧作)

2008.11.17  *Edit 


 祖母は、床の間においてあった桐の箱を手元へ引き寄せて、中から小さな蓋つきの壺を取り出した。メロンとか、小玉スイカくらいの大きさで、つるりと丸い、壺。青磁というのだろうか。くすんだ、淡い、エメラルドグリーンの、古色蒼然とした、でもなんだかとても可愛らしい風体の。
「これはねえ、おじいちゃんがおばあちゃんと結婚する前に買って、一番大事にしてた壺なの。結婚してから、おばあちゃんが貰って、ずっとこうして持ってるんだけどね」
 目を細めて、その、古そうな、ちょっと高級そうな表面をつるつると撫でたあと、祖母は、かぱっと壺の蓋を開けた。
 その、途端。
 驚くべきことが起こった。

 今の今まで水槽の中でのんびりと鎮座ましましていた徳治郎さんが、やおら頭をあげるや、ぺたぺたと水槽の壁をのぼって這い出ると、するするとその壺の中に収まってしまったのだ。
 私は呆気に取られて、ただ口を開けてその光景を見守っていた。ウシガエル様は壺にぴったりとちょうどよく身体を収めると、ちょこんと頭を出して、満足そうにグウとかモウとかそんな感じの鳴き声を立てた。
「――……何、今の」
 ようよう、言葉が出る。
 祖母は、そんな私の反応を見て、
「びっくりしたでしょう」
 と、それはもう楽しそうに笑った。
「……いや、あの、意味が分からないんですけど……どういう仕組み?」
「おばあちゃんにもよく分からないんだけどもね。ずっと、最初に買ってきた時から、この壺に入ってたんだって。徳治郎さんが、この、壺の、ヌシみたいなものらしいよ」
 ますます混乱して呆然とする私に、祖母は、ずい、とカエル入りの壺を差し伸べた。
「私の願いは叶ったから、今度はあんたが、この、幸福の壺を持ってちょうだい」




3に続く。



*

*

*

なんか私のおはなしって変な遺産残して死ぬじいさんが出て来ますね(笑)
おじいちゃん、っていう存在について、どうも「変わり者」ってイメージがあるみたいです。
今年亡くなった私の祖父も、なーんか変わった人でした(笑)
「変な人だったよねえ」って、うふふ、って語る時、愛されてたんだなあっていう感じがして好きです。



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