『千段』

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みじかいおはなし
幸福の壺の主(旧作)[完結]


『幸福の壺の主・7』 (みじかいおはなし・旧作)

2008.11.21  *Edit 



「おじいちゃんとかおばあちゃんみたいに、本当に、ここぞ、って時にお願いするのもいいのかも、っては思うんだけど――でも、もしかしてさ、なんか、たとえばだけど、こう、不倫とかしちゃってさ、嫉妬に狂って、相手の奥さんが不幸になればいい、とかって、うっかりお願いしちゃったりとかさ、しないとも限らないじゃん。それに、それこそ、変な欲が出て来たら嫌だし、もう、いっそ、すっごいありえないお願いとかしちゃおうかなって。叶わなくてもそんなにがっかりしない、っていうか、むしろ、普通だったら絶対叶わないような奴で、別に、誰にも迷惑かけないような奴」
 万里は、またくすくす笑って
「本っ当まじめだなあ」
 と言った後、うーん、と少し考えて
「わかった、じゃあ、コレだ。『オーランド・ブルームとデート』! コレで行こうよ」
「えっ、うわ……いやーん」
「イヤなの?」
「いやいやいやいやいや! や、うわあ、どうしよう、デートしたい! オーリー……!」
「興奮しすぎ」
 そう言われても、ちょっと想像しただけでも興奮してしまうのだ。
 オーランド・ブルーム。映画に出ている俳優さん。ロード・オヴ・ザ・リングでその存在を知ってから、私は彼に恋していると言っても過言ではないのだ。

 もちろん、オーリーと○○したい! ってのは散々考えた。デートしたい、付き合いたい、結婚したい、握手したい、チューしたい、一夜をともにしたい……凄い馬鹿な想像なんだけど、それが「恋は盲目」というやつだ。ちょっと違うか。
「だって、しかも今、オーリー、日本に来てるんだよ!? 興奮するよ!」
 私は、視界のはしっこにあったスポーツ新聞を引き寄せて、空港でファンに囲まれてにこやかに微笑むオーリーの写真を指でてろてろなぞった。新作映画の宣伝で、昨日から来日しているのだ。
「あっ、噂をすれば、今、テレビ映ってるよ!」
「嘘!」
「早く早く、1チャンだよ」
 慌てて点けたテレビの画面は、空港でのインタヴューの映像だった。ほんの何秒かですぐに他のニュースに切り替わってしまったけれど、しかも同じコメントを今朝から何度も見ているのだけれど、にも関わらず、なんだか胸がいっぱいになってしまった。
「……オーリー、格好イイ……」
 ハァーなんて、変なふうに尻上がりの溜め息が出てしまう。馬鹿だ。相当だ。自分でも分かっている。でもどうしようもないのだ。オーリーが格好良すぎるのが悪いのだ。
「だからさ」
 はいはい、と慣れた様子で、延々と続きそうな私の溜め息をぶった切る。
「いいじゃん、『オーリーとデート』にしようよ。あ、いっそ結婚にしとく?」
「や、いやいやいや、滅相もございません。デートで十分だよ、そんなの死んじゃう」
 ぶるぶるぶる、と私は頭を振る。あまりにも好きすぎて、そして、あまりにもオーランドがビッグスターすぎて、そんな大それたこと、思うだけでも頭がぽんっと破裂してしまいそうだ――そう思いながら、徳治郎さんを見ると、でっかいカエル様は、なぜか水槽から身を乗り出さんばかりにして、私の方を滅茶苦茶見ていた。願い事の話をしているのが、分かるんだろうか。
「ねえ、なんか、徳治郎さん、すごいあたしのこと見てる」
 と私が言うと、万里も私とおんなじことを思ったらしく、
「それさ、自分の話してるって分かるのかな」
 と興味深げに言った。



8に続く。



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