『千段』

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みじかいおはなし
いつかのメリーゴーラウンド(旧作)[完結]


『いつかのメリーゴーラウンド・1』 (みじかいおはなし・旧作)

2008.12.01  *Edit 

 


 園内にゆったりと流れる有線放送の『蛍の光』。そのスイッチを切った刹那の、なんとも言えない静寂が、敏子は好きだった。
 もちろん、子供たちの嬌声や、ジェットコースターから聞こえてくる悲鳴のコーラス、それぞれの遊具の稼動するモーター音や、ちびっこショーのお姉さんの甲高い声―― それら皆が入り混じった、活気のある『昼間の遊園地の喧騒』もいい。
 けれど、日が落ちて、すっかり暗くなった園の正門を閉めて……いよいよ最後に残った音楽である『蛍の光』を消した時の、しん、という効果音が聞こえそうな程の静けさは又格別だ。少しの寂しさ。そして、この夜の中に、何か秘密を内包しているような空気の濃度。それを感じることが出来るのは、遊園地で働く者の特権だ、と敏子は思う。いつの間にか、女性従業員の中では一番のヴェテランになってしまっていたけれど、何十年勤めても、この瞬間のわくわく感は変わらない。

 遊具類の点検を終えると皆次々と退社して行く。今日は、最終チェックと施錠は敏子の当番だった。誰もいなくなった事務所で業務日誌をつけ終え、さて帰ろうかとロッカールームの扉を開ける。今帰るって娘にメールを打たなくちゃ、などと考え事をしているところへ、
「お疲れ様です」
 と声をかけられて、敏子は飛び上がるほど驚いた。皆帰った筈だったのだ。
「ああびっくりした! 誰? 岡本くん?」
 開いたドアの陰、男子ロッカールームの前に、アルバイトの学生である岡本が立っていたのだった。
「すみません」
 岡本は肩をすくめて少し笑った。
「皆帰ったと思ってたわ。……あれ? 岡本くん、今日、シフト入ってた?」
 敏子はふと思い当たって尋ねる。今日一日、岡本の顔を見た記憶がないのだ。
「いえ、休みです。あのう――」
 唐突に岡本は真顔になって、姿勢を正した。
「今日は、敏子さんにお願いがあって。今、少し、お時間いいですか?」
 敏子は躊躇する。正直、もう帰りたい。それに、シフトの調整なんかの話だとしたら、全部後始末を終えてしまった今、面倒でもある。
 しかし。雰囲気から察するに、そういう類の話ではないような気がした。
 岡本は、今時の大学生らしい、何を考えているのかよく分からないところもあったが、基本的には真面目で、普段の仕事も一生懸命やる方だ。ふざけてこういうことをするタイプではない。
 逡巡の末、敏子は、やや億劫さを表情に出しつつも、ともあれ頷いていた。


2に続く。





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またもミクシィ小説から転用です!
既読のみなさま申し訳ありません!!!(汗)
完成品が少ない私とはいえ、
さすがにまだもうちょっと在庫あるはずなんですが、
あと全部紙なので… PCに入ってる奴が、
ミクシィ小説と『蜜月』と『砂の花びら』しかないんですよ…
長いのはどうかなあと思ったし、
『蜜月』も『砂の花びら』も、読んで頂いてる方も多いので…
さくっと終わる奴にしてみました。

タイトルはB'zの『いつかのメリークリスマス』と、
及川光博さんの『メリーゴーラウンド』を足して二で割りました(笑)



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