『千段』

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みじかいおはなし
いつかのメリーゴーラウンド(旧作)[完結]


『いつかのメリーゴーラウンド・2』 (みじかいおはなし・旧作)

2008.12.01  *Edit 



「じゃあ、中で」
 岡本が先に立って、隣の男子ロッカールームの中へ入る。別に誰もいないんだからここでもいいじゃない、と思いながらも敏子も後へ続く。
 と、すぐに二人の足元になにかがすばしこく駆け寄ってきて、敏子は二度びっくりした。

「パパ」
 敏子が事態を把握するより早く、岡本がしゃがんで『それ』を抱き上げる。「彩乃」

 『それ』は小さな――恐らく、二歳くらいの、女の子、だった。


「えっ!? えっ!? 岡本くんって結婚してた? あなたまだ学生じゃなかった!?」
「はい」
 敏子の質問に岡本は苦笑して頷いた。
「まだ、大学生です。でも僕、子持ちなんですよ。高校の時から付き合ってた彼女と二十歳で学生結婚して。一年ですぐ離婚しちゃったんですけど」

 いきなりの想像を絶する展開に、敏子は思わず
「はあー」
 と、半分鼻から息の抜けたような、間抜けな声を出してしまった。言ってしまってすぐ、我ながらなんてオバサン臭いリアクションだろうと恥ずかしくなる。が、岡本はそんなことは気にも留めていないらしい。深刻な表情を崩さない。

「今は彩乃は、あっ、娘、彩乃っていうんですけど、彩乃は、母親の方と一緒に暮らしてます。でも、週に一回は会わせて貰えることになってるので、今日も連れてきたんですけど……」
「パパ」
 少しぐずり気味に、彩乃が岡本の首筋にぎゅうとしがみついた。ちらりと横目で敏子の方を見ている。人見知りをする年頃なのだろう。

「なんか、母親の方に、今、付き合ってる人がいるようなんですよ。勿論、すぐに結婚とかそういう話にはならないと思いますけど。ただ、多分これから、彩乃と会える頻度って段々落ちてくると思うんですよ。それこそ、再婚とかっていう話になったりしたら、相手によってはもう会わせない、とかって言われる場合もあるかも知れないですし。それは、離婚したから、しょうがないって言ったら、しょうがないです」

 一見普通の大学生としか見えない岡本なのに、どうやったらそんな波乱万丈な人生が送れるのかしら、と、敏子は呆れて彼を眺めた。しかし、続く言葉が敏子を更に呆れさせることになった。岡本は、今まで以上に真剣な表情で、こう、言い出したのだ。
「今日、彩乃の誕生日なんで、特別な、思い出に残ることしてやりたいって思って。これから、彩乃のために、メリーゴーラウンド動かしてやりたいんです。鍵、お借りできませんか」


3に続く。




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