『千段』

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みじかいおはなし
星喰い(旧作)[完結]


『星喰い・5』 (みじかいおはなし・旧作)

2008.12.13  *Edit 



「おまえをあいしている」
 うっとりと、私はつぶやく。
「あたしもあなたをアイシテイル」
 息のかかる距離で、私の顔を覗き込むようにして、あの微笑で。
 彼女が応えるので、
 私の視界は彼女の微笑の、乱反射する水面のひかりのような眩しさで一杯になって、なにも見えなくなる。きらきらの残像が閉じた目の裏に白く明滅する。
 ひかる、
 星。

 私の星を呑み込んで体の中に宿しているから、だから彼女はこんなにも輝くのだろうか。微笑んでいる口元、私の星を喰らったその唇をいとおしく思う。
 くちづける。
 呼吸の音と柔らかに伝わる体温と、そして唇はむさぼる動き。
「私を……喰うか?」
 彼女のその唇が私の何もかもを欲しがっているようで、私は思わず、そんなふうに彼女をからかった。彼女の中で、私は私の星とひとつになり、どこまでも空を行く。
「いいわよ」
 星喰いは頷いた。私は少し驚いて問い返す。
「本当に?」
「そうよ」
 耳元で、血が激しく脈打っている。多分私はもう狂っている。
 この『星喰い』に喰われて、彼女と星とひとつになることこそ、私が長いこと旅してきた目的だと、それだけが、私の愛する星へと辿り着く唯一の道だと思い込むなんて、
 気ちがいじみている。
 けれどこの、気ちがいじみた妄想があまりに幸福そうなので、私は涙さえこぼしていた。震えるような懐かしさ、ああ、私はこんなにも今、私の星が恋しくて、そして星喰いを愛しく思っている。
「私とお前はひとつのものになることができるというのか」
「そう」
 ひとつになる。
 星喰いは星と。
 そして私は星喰いと。
 なめらかに溶けて混ざりあい、ひとつのものとして完成される。
「あたしはあなたを食べる。あたしはあなたの中に、あなたは私の中に入って、同じものになるのよ。素敵でしょう? 星喰いは、本当は星を食べるのじゃなくて、旅人を食べるものなのよ」
「何だって」




6に続く。




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