『千段』

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みじかいおはなし
星喰い(旧作)[完結]


『星喰い・8』 (みじかいおはなし・旧作)

2008.12.19  *Edit 


「あたしに食べられてしまいなさい」
 星喰いがささやく。
「あたしを好きでしょう? あたしに惹かれるのは、旅を辛く思ってる証拠よ。旅人なんて苦しいだけよ、ひとりぼっちよ。愛する者とひとつになる以上の幸福がある?」
「そう、おまえをあいしている。私はおまえをあいしている」
 再び、涙があふれてくる。
 どうしてだろう。
 いつだって、なにもかもを手に入れることはできない。
 両方大切で、欲しいのは本当なのに。
 それでも、すべてを投げ出すことは選べない、業の深い私がいる。
「あたしとひとつになりなさい。そこには孤独も絶望もないわ。愛とあたたかさと幸福だけ」
「絶望がないだって?」
 私は思わず叫んでいた。
「星をあきらめることが、絶望以外の何だというんだ」
「今はそうかもしれない」
「今は?」
 「そう。でも、離れれば忘れるわ。時間がたてば絶望も消えるわ。旅人が旅をするのは星がそこにあるからよ。そこにないものを、人は愛することはできないわ。見えないものに憧れ続けることはできないわ」
「え……」
 そこにないもの。
 旅人が死ねば星も死ぬ。
 星喰いに食われるということは旅人でなくなるということであり、即ち旅人としての私の死を意味する。
 それはつまり、
 星も死ぬということだ。
 そう、気づいた瞬間、
 私の手は星喰いの喉元へと伸びていた。
 『きゅっと』
 細い首は鳥の首だ。
 そう、自分に言い聞かせて、力の限り絞めあげる。
 涙はとまらない。息が吸いこめずに奥歯ががたがた鳴る。
 だって。
 あいしているのは本当なのだ。
 殺したいから、嫌だから憎いから殺すんじゃない、だって他にしょうがないから。



9に続く。



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